電気工事士が独立してこうなる【年収、開業資金、失敗しない準備】

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「電気工事士は、わりと独立しやすい」「電気工事士として働くなら、いずれは独立・開業・・・」そんな話を、どこかで耳にしたことがあるかと思います。実際に独立したら、どんな生活が待っているでしょうか?また、独立するかを悩んでいる人にとっては、良い点も大変な点も詳しく知りたいかと思います。この記事では、電気工事専門の求人サイト「工事士.com」を運営する中で、経営者や実際に独立した方から直接聞いた話を中心にお伝えします。是非、参考にしてください。


目次

1.独立するってどんなイメージ?会社員時代と、こう変わる
2.独立した時の収入、年収
3.独立した人の理由・キッカケ、独立してのリアルな感想
4.独立に必要な手続きや準備、開業資金
5.独立は、得するのか?
 

1.独立するってどんなイメージ?会社員時代と、こう変わる
電気工事士として独立する前は、ほとんどの方が電気工事会社に就職して働いていると思います。会社を辞めて独立し、「個人事業主 = 一人親方」となると、どのような点で違いが出てくるかを見ていきましょう。


1.主な仕事は「工事」 → 「工事に、プラス営業」
電気工事士が独立した時に一番大きな違いになるのは、この点です。独立すると現場での工事にプラスして、営業活動が必要となります。仕事を取ってくる、工事案件を受注する仕事です。独立する方でしたら、工事自体には自信を持って対応できると思いますが、それよりも大変なのが営業活動だと言われます。独立した方からは、「見習いで工事を覚えた時よりも、営業に慣れる方が大変だった・・・」という声もよく聞きます。

営業が大変なのは、「電気工事とは、種類が異なる仕事」だからです。決められた方法・ルールなどの正解に当てはめて進める工事と比べると、営業には、これといった正解が少ないです。相手の状況や反応に合わせて、会話したり行動したりする仕事です。自分から動いていく仕事であり、そのなかで相手との交渉があったり、相手への提案をしたりします。

人脈が大事という話もよくありますが、人脈こそ待っているだけではだめで、自分から行動を起こしていくことが欠かせません。相手に役立つ情報を提供できたり、困っている相手からの依頼・要求に応えたりと、自分がメリットを与えられる存在になると人脈も広がります。このように、現場実務とは、少し異なる営業活動が、独立したら大事になります。


2.工事案件単位での受注 → 人工単位での受注
会社で働いている時は、「○○マンションの電気設備工事、工期:○月○日~○月○日、受注額:○○万円」など、案件単位で、まとまった受注も可能でした。その案件を、社内の職人、足りない時は社外の職人も入って、工事を進めていきます。

独立して個人となると、案件単位での受注を最初から難しくなります。基本的には、案件単位で受注している会社の外注先として、人工単位での仕事を請けることになります。仕事内容は大きく変わらないかもしれませんが、例えば、取引先の受注額が小さくなった場合などに、削減される工賃の対象は外部の個人からとなっていきます。案件単位での仕事を受注する場合は、自分の人脈の中で仕事を依頼できる職人を一定数以上確保したり、上に書いたような営業活動に取り組むことが必要となります。


3.毎月の支給日に給与が振り込まれる → 各取引先からの支払い金額、支払い時期は、毎月違う
会社員時代は、決まった支給日に給料が振り込まれていた方が多いと思います。手当や歩合給によって上下動したとしても、ある程度の金額は毎月入ってきます。独立した場合は、直近の工事次第です。単価の高い工事案件を、多く対応していたら、その分だけ収入が増えます。その逆で、減ることもあります。

また、取引先から支払われるタイミングは、契約内容によって異なるでしょう。当月に支払われるのか、翌月なのか、翌々月なのか、確認が必要です。仮に金額が大きいとしても、入金されるタイミングが翌々月など先となると、それまでに別の収入源がなければ、手元のお金は増えません。支払い期日・タイミングの確認は重要ですね。独立した場合は、毎月同じ日に振り込まれる給料とは違うことを、頭に入れておきましょう。


4.会社が用意した資材や工具を利用 → 自分で用意
工事に必要な資材、特殊な工具、作業車などを、基本的に自分で用意することが必要になります。前職の会社から借りることも可能かもしれませんが、自分で用意する心づもりではいた方がいいでしょう。開業時の初期投資の費用が必要ですし、補充したり修理したり、買い替えたりする時も、もちろん費用が発生します。これらの費用も、入金されるお金の中から捻出していくことになりますので、入金のタイミングは大事になってきます。また入金されてくるお金から、これらの必要費用を差し引いた分が、ご自身の手元に残り、自由に使えるお金となります。


5.経理、事務手続き、その他、諸業務が発生します
独立した場合は、もろもろの細かな書類作成や手続きの業務も発生します。各種書類の作成や管理、入金・出勤に関連する記録や書類作成などの経理業務、国・都道府県向けの届け出書類や税金対応など、あらゆるものを自分で対応することになります。1つひとつの作業量は少ないとしても、現場工事や営業活動と並行してやる必要があるので、その点が大変な点だと言えます。
 

2.独立した時の収入、年収
大前提として、独立した時の収入や年収は、会社員の時以上に振れ幅があります。うまく軌道に乗れば、年収700万円~800万円以上といったことも可能ですし、逆の場合だと、会社員時代よりも少ない収入、年収になることも起こります。下の図のようなイメージです。上に書いた通り、重要なのは営業活動です。稼ぎやすい案件を多く受注できれば年収は伸びていきますし、逆に案件を受注できなければ、下がっていきます。極端な話、全く受注できなければ、収入は0に近づいていきますし、会社員時代よりも少なくなる可能性も考えられます。



具体的な収入の金額は、一人親方だったら「単価(日当) × 案件量・稼働日数」で決まってきます。例えば、単価15,000円、単価20,000円、単価22,000円で、月に25日稼働したとして単純計算すると、それぞれ次のようになります。

・単価15,000円 × 25 = 375,000円/月 <375,000円 × 12ヶ月 = 4,500,000円/年>
・単価20,000円 × 25 = 500,000円/月 <500,000円 × 12ヶ月 = 6,000,000円/年>
・単価22,000円 × 25 = 550,000円/月 <550,000円 × 12ヶ月 = 6,600,000円/年>

上に書いたのはあくまでイメージですが、これらに単発での仕事を入れたり、単価の高い仕事を入れたりして、収入を増やしていくことになります。稼働日数はある程度限界がありますので、単価も重要になります。その点でいうと、営業がうまくいっている時は単価の高い仕事を選びやすくなります。逆に営業がうまくいっていない時は、単価が低いと感じる案件でも、他に選択肢がなければ受注さえざるを得なくなります。営業の大事さが分かります。500万円台~600万円台が、1つの目安です。その先は、営業力や、法人化しての経営力次第といったことになりそうです。

また単価が比較的高い仕事としてよく挙げられるのは、空調・エアコンの設置工事です。1台の設置で10,000円~15,000円程の金額で、1日に3~4台設置できると、30,000円~40,000円以上となります。稼ぐ人になると、月100万円以上という人も出てくる仕事です。ただし気になるのは、夏場がハイシーズンで工事が集中するので季節によって収入は変動するのと、1日に件数を回していくので工事と移動も含めた体力・気力がいる点です。また、エアコン設置の仕事では監督業務はないので、年齢を重ねた時にも実際に件数を回していかないと、稼ぎ続けることはできないです。電気設備の配線工事の方が、年齢を重ねていった時に監督の仕事に移行はしやすいと言えます。
 

3.独立した人の理由・キッカケ、独立してのリアルな感想
電気工事士として実際に独立した人から話を聞くと、独立するまでの経緯はそれぞれですが、独立には主に次のような理由があるようです。1~3のいずれか、あるいは組み合わせのようです。

1.独立して稼ぎたかった
2.独立して自由に、自分のペースで、自分のやり方で働きたかった
3.電気工事士として働くなら、独立するものだと思っていた、それが自然だと思っていた


上の1~3のどれに当てはまりそうですか?あるいは、別の理由でしょうか。独立の経緯や独立後の感想などについては、以下の声も参考にしてください。
「もともと、独立は考えていませんでした。ただ、当時働いていた会社の上司と、そりが合わなくて、これ以上一緒に働くのはシンドイなと思っていました。年齢的にも当時40代で、新しい会社に転職するのか、思い切って独立するのか考えました。独立するならこのタイミングだし、もし独立しないならずっと会社員を続けることになるだろうと思い、当時はかなり悩んでいたと思います。最終的には、会社を辞める理由が上司との関係でしたし、ある程度自由にのびのびと働きたいなと思って、独立を決めました。わたしは忙しいのとか、現場で少し嫌なことがあるのとか、そんなに気にならないんですよね。それよりも自分のペースで動けることの方が大事でした。日々のストレスは減ったので、営業としてお客さんと話したりするのも、苦じゃなくて、上手くいくようになりました。今は、仲良くできる一人親方何人かで、案件を受注したりして、楽しくやれています。(50代・個人事業主)」


「稼ぎたいと、若い時からよく思っていました。自分は高卒で、20代の時にどうしたらもっと稼げるかなと考えながら仕事を探していて、電気工事士を見つけました。エアコンの工事を一番よくやりましたね。そこそこ稼げていたのですが、エアコン工事の会社をやっている経営者を見たりして、もっと稼げるようになるかもと思って、独立しました。独立してみたら、甘くはなくて、超大変でした。営業の話は知人から聞いていましたが、正直少し、営業をなめていたところがあったようです。エアコン工事の仕入れ先の開拓は思うようにいかずキツかったですし、開拓できても工事単価が低かったりしました。間違えちゃったかなと思う時もありましたが、なんとか仕入れ先を増やすことができて、今も続けられています。(40代・会社経営者)」


「技術の仕事、電気工事士の仕事をする以上は、いずれは独立したいな・・・そんなことを思って、この業界に入りました。独立するなら早い方がいいかなと思っていて、20代後半で独立しました。独立したら、一気にやることが増えたと思います。時間が足りない感じで、工事をしながら細かい書類作成とかをするのは大変です。独立して最初のうちは、働いていた会社から下請けで仕事をしていました。だけど、それだけでは仕事は足りなかったですし、あまり手元にお金が残らず、生活が大変な時もありました。会社を紹介してもらったりしながら人脈を広げて、ちょっとずつ余裕が出ていきました。営業って、ほんと大事だと思います。自分は運が良かったのもあります。独立して案件を取れなかったら終わっちゃいますよね。こわいです。今は案件が増えてきて会社を作ったので、少しずつ社員を採用しています。社員を増やしていったら、自分は会社全体のこととか、管理側の仕事に集中できるので、早くそうしたいと思っています。(30代・会社経営者)」
 

4.独立に必要な手続きや準備、開業資金
独立に当たって外せない手続きは、各都道府県への電気工事業者の登録手続きです。法律で定められており、不可欠です。提出書類や手続きは、都道府県ごとに異なりますので、お住いの都道府県のWEBページや窓口でご確認ください。登録においては、「第二種電気工事士あるいは第一種電気工事士の免状取得後の、3年以上の電気工事実務経験」が必要とされています。実務経験を積んだ会社からの実務経験証明書も必要です。働いていた会社に依頼して、用意してもらいましょう。

次に、独立にあたっての開業資金についてですが、上に書いた登録手続きにも、もちろん費用が発生します。工具や作業車などを準備する場合も、まとまったお金が必要となります。もっとも困るのは、受注の予定がなかったり、受注が読めなかったりすることです。いつ、どのくらいの入金があるか分からないことは、非常に不安です。受注がなくて、手持ちのお金の残高が、じりじりと減っていくのは、とても苦しいことです。資金繰りに追われる経験は、生きた心地がしないものとして、どなたも言われます。精神的に余裕がなくなっていくと、冷静な判断ができなくなったり、焦ってしまったりと悪循環になっていきます。そのため、独立時の資金は、多ければ多いに越したことはなくて、これだけあれば足りるといった金額はないと思われます。余裕を持ってスタートするには、数ヶ月~1年ほどは売上がなくても、困らない金額があるのが良さそうです。


結局、一番大事な準備は、工事案件の確保や営業の準備だと言えます。一番身近なのは、現在働いている会社から工事を発注してもらうことです。そのためにも、独立や退職の話を丁寧に進めることは大切ですね。独立してからしばらくは、工事を発注してもらえると助かるはずです。もし、勤務中の会社から案件をもらえない場合は、自分で探すなり、紹介してもらうなりして、どうにかして案件を見つけるしかありません。また、独立時に工事案件がある場合も、現場に入るのが忙しくて、次の工事案件を取る営業活動が進まないこともあります。どうやって営業する時間を確保するのか、どうやって営業するのか、この点についても準備が大切ですね。
 

5.独立は、得するのか?
電気工事士の独立について、様々な角度から見てきましたが、うまく行けば自分の希望に近づきますし、失敗した場合は苦労ばかりとなるかもしれません。そうです、独立したら、良いも悪いも自分次第、自分の力次第となっていきます。振れ幅は大きいでしょう。これは、この業界に限らず、どんな仕事においてもそうです。会社に所属せずに独立するというのは、社会の大海原を自分1人の手で泳いでいくようなものです。

この記事に書かれている内容を読まれて、やめておこうかな、厳しそうだなという気持ちが強い方には、あまりお勧めできません。というのは、現実には、この記事で書いてないような不測の事態も起きるかもしれませんし、どんなことが起きたとしても、自分の力で対処していかないといけないからです。独立しても、会社員でも、日々の仕事を頑張ることに変わりはないですが、独立した方が、頑張らないといけない分野は増えそうです。営業活動をしないことには、食べていけません。資格も第二種電気工事士だけですと、受注できない案件も出てきてしまうので、第一種電気工事士やそれ以外の資格の取得もしていく必要がありそうです。

これらを理解した上で、「独立にやっぱり惹かれる、独立してみたいという方」は、とにかく行動あるのみでしょう。始めてみないと、何が起きるかは分かりません。「何が起きたとしても、なんとか対応するぞ」と思えたら、一歩踏み出せるかもしれませんね。



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